Amazon EC2からホワイトクラウドに移行できない理由

2010-01-07 18:21 | tag: ,

ファーエンドテクノロジーのRedmineホスティングサービス「My Redmine」はAmazon EC2上で運用しています。

これをソフトバンクテレコムのホワイトクラウドに移行できるかどうかという視点でホワイトクラウドの資料を眺めてみました(あくまでも仮定の話で、現状では他社への移行は考えていません)。

検討対象のサービスは「シェアード/スタンダード」です。Amazon EC2のSmall Instanceを意識して4500円という低価格(ただし実質は8000円)を前面に打ち出しているサービスです。

結論を先に述べると、移行は困難です。

EC2と比較した場合の問題点

納期が5〜10営業日

Amazon EC2は数分でサーバ(インスタンス)を追加することができます。必要になったらすぐに追加することができますし、OSやアプリケーションのアップデートの検証用に一時的に別サーバを起動することも容易です。納期が日単位でかかると、そのような使い方は困難です。

また、EC2ではインスタンスで障害が発生した場合、そのインスタンスを破棄して新たなインスタンスを起動するという操作が短時間でできます。ホワイトクラウドの場合はユーザーの操作でインスタンスを新たに追加することができませんので、特定のVMで障害が発生した場合はソフトバンクテレコムの対応を待つことになるのではないかと思います。

課金が1ヶ月単位

Amazon EC2は1時間単位の課金であるため短時間の利用であれば非常に低い料金しか発生しませんが、ホワイトクラウドは最低1ヶ月分の料金がかかります(最低利用期間=1ヶ月)。

EBSに相当するストレージサービスがない

EC2にはEBS(Elastic Block Store)とよばれるストレージサービスがあります。任意の容量の領域を確保し、起動しているインスタンスに接続してブロックデバイスとして扱うことが可能です。外付けのディスクをどんどん増設することができるイメージです。

EBSではデータはAmazonのクラウド内で分散保存されており、EBS自体の障害でデータが消失する可能性はかなり低いと考えられます。また、スナップショットバックアップなどの機能も持っています。

ホワイトクラウドではこのような高機能なストレージサービスが用意されていません。VMに固有の100GBのディスク領域のみです。

また、提供されているバックアップサービス(2000円/月)はVMのイメージバックアップが作成されるもので、VMからバックアップにアクセスすることはできないとのことです。したがって、VMの障害が発生した際の復旧作業でしか利用できないと思われます。そうであれば、特定のファイルのみをバックアップから戻すという操作は不可能なのではないかという心配があります。

Amazon EC2の場合、EBSのスナップショットバックアップからEBSボリュームを作成し、既に起動しているインスタンスにアタッチすればバックアップから個別のバックアップを取り出すことが可能です。

料金が高い

EC2のSmall Instanceは1ヶ月動かした場合の料金は約62ドルです。Reserved Instanceを購入し1年以上の継続利用を約束するとさらに安くなります。ホワイトクラウドの場合は実質8000円で、バックアップをつけると10,000円です。EC2に対して機能的に不足する点が目立ちながら、通信料金込みとはいえ料金が倍以上かかります。

まとめ

Amazon EC2と比較して機能が不足しており、移行は困難です。EC2対抗をうたいながらも、現状では既存の国内VPSとサービス内容は大きくは変わらないように感じます。

とはいえ、国内サービスであるため通信の遅延が小さい、為替変動を気にする必要がない、クレジットカード以外の支払い方法が選択できるなどのメリットは大きいと思います。今後ぜひとも移行を検討できるサービスに育って欲しいと思います。